モモカンとは??
当院は、佐賀県初(伊万里初)の猫背矯正マイスター認定の施術院です。
先日、サッカーの試合中に相手の膝が太ももに当たり負傷した中学生が来院されま
した。
受傷直後はプレー不可になり、足を引きずって歩くことしか出来ない状況でした。
今回のケガはサッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツで、相手選手の膝など
が太ももに強く当たった時に起こるもので、通称『モモカン』と呼ばれます。整形
外科では大腿筋挫傷と診断されます。
この中学生は整形外科に受診した際に、膝伸展位で固定されていたのです。モモカ
ンはきちんと治療しないと合併症を引き起こす可能性があります。そのこともあり、
今回は『モモカン』についてお話ししたいと思います。
『モモカン』ってなに?
まずモモカンとは、太ももに起こった打撲のことを呼びます。 私達の業界では「チャーリーホース」とも呼ばれていますが、モモカン同様これも
俗称で医学的に言えば「大腿筋打撲」や「大腿筋挫傷」となります。要するに太も
もの筋肉損傷なのですが、多くの場合大腿四頭筋に発生します。コンタクトプレー
は正面からぶつかり合うことが多いからでしょう。今回はその代表とも言える「大
腿四頭筋」として解説いたします。
症状は?
モモカンの症状は、「痛み」、「機能障害」、「腫れ」などです。 患部を触ると痛いのは勿論ですが、負傷した筋肉に力を入れたり、ストレッチする
と痛みが増強されます。その為「スムーズに歩けない」「膝を曲げられない」など、
機能的な問題が起きます。また、筋肉が傷つき内出血が発生するため、その付近は
腫れてふくらみ、時には青あざ(皮下出血班)をつくります。(数日たってから出
てくることも多いです)重症度の分類ははこれらを総合的に診て判断するのですが、
特にわかりやすいのが膝の曲げ具合です。損傷が強いほど膝を曲げられなくなりま
す。また、重傷の場合、経過中に膝関節内に関節水腫を認めることがあります。
「肉離れ」と違うの?
上述の通りモモカンは衝突によって起こります。 つまり、筋肉が押しつぶされるように傷めるのです。これに対して肉離れは伸張力で傷めます。筋肉が強烈に引き伸ばされて、耐えられなくなった結果、筋線維が切れてしまいます。(「筋断裂」と言うように)これが決定的な違いです。両者それぞれ、加わった力が違うので当然損傷状態も異なります。患部を触ってみると、モモカンでは受傷直後になだらかな凹みを感じることもありますが、内出血が急速に発生する為多くの場合腫れにより膨らんでいます。これに対して肉離れでは、受傷直後でなくても断端部による凹み(ゴムが切れたような)を触知することがほとんどです。症状的には、両者とも筋肉の損傷に違いないので共通点が多いのですが、肉離れでは「力が入りにくい」と言う訴えがみられることがあります。(モモカンは「痛くて力が入れられない」)
初期治療が大事!
初期治療は急性外傷の一般処置と同様にRICE処置が基本であり、最も重要です!
RICE処置とはRest(安静)・lcing(冷却)・Comprssion(圧迫)・Elevation(挙上)のことです。初期治療で内出血や炎症をいち早く抑えることで、患部治癒を促進します。ただし、モモカンの初期治療段階においては他のケガではしない、あることを行います。それは傷めた筋肉のストレッチです。(肉離れではあり得ない)傷めた筋肉を伸ばすなんていかにも痛そうですが、それでもなぜ伸ばすのか?
それには大きな理由が二つあります。モモカンでは筋肉がつぶされてしまう為、治った時にそこが硬くなりやすく柔軟性が顕著に失われる傾向にあります。一旦そうなってからでは元に戻すのがとても大変。なので、早期から伸ばしておこうと言うわけです。もう一つは患部への圧迫力強化が目的です。膝を曲げて患部側(フトモモ前面)を伸ばすことで、結果として出血部に圧迫が加わります。そうすることで出血が抑制されます。これは止血の基本である「圧迫止血」にあたります。
以上のようにモモカンでは特に止血に重点を置きます。これは合併症「骨化性筋炎※」の予防のためでもあります。この発症は稀ですが、かかるととても厄介なもので復帰が大幅に遅れてしまいます。
ストレッチングの施行は受傷から2週間までに行うことが重要です。(ヒールスライド)
ストレッチングの経過中に改善がみられない場合は、整形外科で精査する必要があります。
スポーツへの復帰条件としては、可動域制限がなく、MMT5、ストレッチ痛無しが条件だが、症状に応じてジョギングから徐々に立ち上げていきます。
※骨化性筋炎・・・発生した内出血から血腫が形成されて、そこにカルシウムが異常集積してしまい、筋肉の中に骨の様な異物が出来てしまうもの。出来ると症状が長引き、膝の屈曲可動性に問題をのこすことも少なくない。
最後に
最後に、流れをまとめておきましょう。
ももかん発生 ⇒ 冷却&圧迫固定 ⇒ 受傷後からヒールスライド施行 ⇒ 動作パターンをチェック&改善 ⇒ ジョギングから徐々に復帰 ⇒ 完全競技復帰!
と、これが大まかな流れです。負荷をかけていく過程で、不安を感じる際にはサポーターなどを使うのも良いでしょう。(念のため、初期から傷が癒えるまでは、圧迫必須ですよ)
『たかがモモカン、されどモモカン。復帰のカギは初期治療です!』 選手・保護者の方は覚えておいてくださいね。
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